yuitamura

大学3年、休学中にデンマークで考えたこと。

2019/02/02

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最近は、学校にある陶芸のスタジオで

夜にぽつりと明かりをつけ、音楽を聴きながら

もくもくと陶芸をするのに、はまっている

 

実は、アナログフォトグラフを主に勉強しようと意気込んで

この学校に来たのだけれど

陶芸の授業説明のとき、ろくろをあれよあれよと、操るかの様に回す先生の姿に

すっぽりと魅了されてしまい

 

結局、週に5コマの陶芸の授業に加えて

たまに夜にもスタジオで陶芸をする、

という熱中っぷり

 

いま居るフォルケホイスコーレは、クリエイティブな授業が充実していて

ミュージック、陶芸、アート、ファッション、写真が

主な授業として選べる

 

これらの中から、とりたい授業を選ぶのだけれど

1つの科目を突きつめたい生徒は、同じ種類の科目をいくつも取れるし

色々な科目に挑戦してみたい生徒は、ばらばらに科目を少しずつ取れる

という、自由なシステム

 

科目が自分に合わない、やってみたかったことではない、と思えば

その都度変えることもできる

 

やってみなければ分からないこと

自分の得意なことや、不得意なこと

というのを、思う存分試すことができる

 

 

補足だけれど、フォルケホイスコーレというのは

北欧に多くみられる、国民高等学校

 

日本では、高校を卒業するとだいたい

大学に行くか、就職するか

という選択を迫られるけれど

 

それが、デンマークでは

大学に行くか、就職するか、または

自分の将来を一度立ち止まって考えるための、ギャップイヤーを設けるという選択肢もある

 

そのギャップイヤーを利用して、

わたしがいま居る、フォルケホイスコーレに行く人も多い

 

フォルケホイスコーレについては

また、自分なりに少し詳しくまとめたいところ

 

言うなれば、

大学でも、専門学校でもなく

一度人生をストップして、

自分探しをできる学校

だと、わたしは捉えている

 

もっともっと、

日本にはないこの概念を、うまく言葉に紡げるように

説明できるようにならなければなと

ひしひしと、思う

 

ただの知識としてではなく、

その内側に入り込み、経験した者として

しっかり伝えたいと思うのだ

 

 

インターネットにある、まだ数少ない情報を調べていたときには

“フォルケホイスコーレ” という

ただの文字としての概念だったけれど

 

実際にその中に飛び込んでみたことで

わたしの中で、それはしっかり立体的な概念になってきている

 

それはまさに

”やってみなければ分からなかった” こと

 

実は、まず ”やってみる” というのは

わたしの不得意分野だ

行動する前に、頭で考えすぎて

行動するに至らないことが多いのだ

 

そんなわたしが、ありったけの勇気を振り絞って、ここに飛び込んできた

このデンマーク留学は、そういう意味でも

わたしの大きな一歩だ

 

やったことがないことに挑戦することができる、この環境で

まず ”やってみる” ということを

少しずつ積んでいければいいな

 

デンマークでの非日常な日々に浮かぶ

ちいさな心の変化を、大切に

 

 

 

 

 

 

 

2019/01/27

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新しい学校での生活が始まって

今日できっかり、二週間が経つ

 

前の、森にある学校とは随分違う雰囲気に

あやうく飲み込まれそうになったあの日から、二週間

 

まだまだ理解からは到底ほど遠いデンマーク語が飛び交う孤独の中

そんな孤独をむしろ愛していこうと

人目を気にせず、やりたい事をやりたいようにするようにと

毎日修行のように、自分の意思に意識を向けることを積んだ

 

その結果、だんだんと自分のペースができてゆき

ぽつりぽつりと、話していて居心地の良い友人もできた

この雰囲気にも、もう慣れてきた

 

前の学校での教訓が、だいぶ効いているのだなと、思う

焦らずとも、ゆっくりゆっくり

仲良くなるべき人とは、仲良くなれるものなのだ

 

前の、森の学校では

心がすとんと落ち着くまで、二ヶ月もかかったものだ

今回は、それが二週間

だいぶ成長した

まだまだ、成長できる

 

生活に”慣れる”というのは

その場所の雰囲気に合わせられるようになること、なのではなく

その場所で、自分が居心地よく暮らせるペースを、身につけること

そう思う

 

ここにいる間に、やりたいことも見つけた

帰国するときに、達成感に満ち溢れ

いろんなものを持ち帰れるように

というのは、いつも考えていることだ

 

毎日、少しずつ、ちいさな努力を積むこと

そして、日々のなんでもないような変化や小さな幸せに気付き、摘むこと

この、”積むこと” と “摘むこと” を

心に念じて、今日も

 

 

 

 

 

2019/01/15

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一昨日から、新しいホイスコーレ生活が始まった

 

Vrå højskole という名前の学校

 

前のホイスコーレ、Rønshoved højskole からだと

北に電車で6時間ほどの場所

 

旅行の最終地点だったリスボンから、ハンブルクへ飛び

さらに電車でぐるりと一本、

丸一日かけて、いそいそと移動した

 

デンマークの列車に乗ると

やはり、ただいま、と呟きたくなった

 

とんでもないくらい広いファミリースペースに

悠々と自転車を押して入ってくる人

隣にはきりりと老いた盲導犬

座りたい放題の、広い座席

 

それにデンマークのあの緑色を、また見ることができて

移動の疲れが少しふっとんだよ

 

 

久し振りのデンマークを堪能するも束の間、Vrå højskole に着いてからは

もう、大混乱だった

 

新しいセメスターなのに、生徒たちがやたら仲良く

そして、オフィスからのメールでは

留学生もたくさんいる、と聞いていたのだけれど

全くもって英語が聞こえてこない

どこをどう探しても、聞こえてくるのはデンマーク語なのだ

 

ちょっとしたパニックだったけれど

確認してみると、どうもセメスターを延長している生徒が過半数のようで

中には、何年も滞在している生徒もいるようだった

 

もう既に互いの距離が相当近いように見えるのは、そういう理由

 

そして、留学生たちですらデンマーク語が堪能なのも、同じ理由

もう何年も、デンマーク語を勉強している人たちなのだ

 

そんなこんなで

はるばると何キロも大移動し

ばたばたと混乱した、一日

 

順応するのに時間はかかるもの

ゆっくり、ゆっくり

 

そう唱えて、前を向いて、今日から

わたしなりの、旅の楽しみ方

わたしは、古着屋が好きだ

 

ある人が、旅行先で観光資源を観に行くように、

またある人が、伝統料理を食べてまわるように

訪れる街の古着屋に行くことが、

わたしの旅の目的のひとつだったりする

 

街の歩き方も、古着屋やアンティークショップを中心に決めていくのがデフォルト

だいたいは、街に行く前にお店を下調べしてから、点と点を結ぶように歩く

 

途中で雰囲気の良いお店を見つけて、開拓するのも

これまた何にも代え難いくらい、愉しい

きっと、フォトグラファーが偶然絶景を見つけるような感覚と似ている

 

例えば、オランダのアムステルダム

Episodeという古着屋さん

何カ国か国をまわったけれど

それでも上位に入るくらいには、めっぽう良かった

入った瞬間のわたしの興奮具合よ

 

どれも20ユーロくらいで、それでいて

質もよし、サイズ感もよし、な古着が多かった

なによりも、お店の中にお洒落さんが多いのが、そのお店の手腕を表していて

お洒落なお客さんを観察するのも、楽しみ方のひとつだ

 

 

また違う日、同じくオランダのアムステルダム

大通りにある、ちいさいビンテージショップを見つけた

興奮ぎみにセールのラックをチェックしていると

ずっと探していたような、濃いブラウンのクラシックなロングワンピースを見つけて

拳を上げたくなるくらいの嬉しさを抑えつつ、試着室へ直行

そして鏡を見て心が躍り、にやけが止まらなかった

そういう瞬間を、旅の思い出として

よく覚えている

 

知らない街で、素敵なお店を見つけたり欲しかったモノと出会ったり

帰ってから、買ったものを眺めて、店員さんとのちょっとした会話を思い出したり

そういう瞬間が、ほんとうに、幸せなのだ

 

ロンドンの、ブラックレーンという通りも、宝箱のようだったな、とか

 

クリスマスのまち、ニュルンベルクのアンティークショップで包み紙にていねいにくるんでもらった瞬間のきらきらした気持ちとか

いまだにちゃんと覚えている

 

お店や、モノとの出会いが

わたしの旅の醍醐味なのかもしれない

 

 

 

2019/01/10

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年が明けて、10日経ち

いまはポルトガルにいる

 

オーフスからロンドンへ飛び、そこで2019年のはじまりを祝い

そして2度目のパリ、と周って

ポルトガルへ来た

 

ここが、わたしの初めてのヨーロッパ旅の、最後

 

思えば、前の学校が終わってから

次の学校が始まるまで空白の期間を埋めるための旅だったのだけれど

 

わたしにしては、タフに動き回った旅だったな

とじぶんを褒めたいところではある

 

普段から、あまり外へ出て行くタイプではないから

1ヶ月まるまる旅をするなんて、うん、いろいろなことに、よく頑張った

ハプニングもたくさんあったし、ね

 

いま居る、ポルトガルリスボン

上空から見ると橙一色で

そして、とんでもなく、晴れていた

 

その橙色の容れ物のなかを歩いてみると

目に入ってくるのは

パステルカラーの建物と

少し年を重ねたような、綺麗なアズレージョ

そして、1年の7割が晴れているというリスボンを象徴するような

ぱたぱたとはためく洗濯物たち

 

ここへ来たことも、これに似た所に住んでいたわけでもないのに

懐かしい、と感じる

震災を逃れたアルファマ地区の、そんなノスタルジックな街並み

 

そう、こんな美しいステレオタイプたちを見たくて、ここまで来た

 

けれど何でだろう、すごく心に靄がかかっていることに気がついて

多分だけれど、人恋しいのだ

陽気なリスボンの街が、わたしがいま1人だということを強く主張してくるような

そんな感覚を覚えている

 

パリやロンドンに比べたら、治安だっていいはずなのに、常に気を張っていて

物乞いのおじさんがなにかをポルトガル語で話しかけてくる

それだけで、なんだか気分が落ちてしまって

すこし疲れているのかもね、と

街歩きは、予定したよりも早めに切り上げる

 

ひとりに慣れるまで、またもう少しかかりそうだ

 

もっと心から、ポルトガルを吸収できるように

今日はすこしだけ休んで、また明日

 

 

2018/12/30

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今日は、港の方へ

 

いま滞在しているAirb&bのお部屋は11階にあって

小さなオーフスの街を一望できる

 

この前窓を眺めていたら、港のほうに

なんだかLEGOをバランスよく組み立てたような

おもしろい形の建物があるのを発見したので、行ってみることに

 

港の方へゆらゆら歩いていくと、

例の巨大な建物が見えてきて

 

近付くうちに、だんだんと

おもしろい形のそれは巨大マンションで

LEGOのように見えていたのは、

その一室だと気付いた

 

大きくて、どこか近未来的なその建物と

その周りに新しく造られたいくつかのマンション群を間近で眺めていると

なんだか似合わないな、と

4日前ここに来たばかりの新米旅行者ながらに、思った

 

オーフスの街は、

歴史を感じる建物が軒を連ねる、

重厚感たっぷりな街並み

長い間、人の生活とともに息をしてきたような、頼もしさがある

 

そこに、それらとはほとんど対照的な

効率的で、ピカピカの、建物たち

 

オーフスに住む人たちは、どう思うんだろうか

そんなことをぼうっと考えた

 

古いものを大切にしてきた人びとは

新しいものと、どう向き合っていくべきか

 

それは、

ほかのことにも普遍的にいえる

むつかしい問い、なのかもしれないな

 

因みに、滞在先の家主のおばあさんいわく

あそこに大量の人がぱんぱんに住むのは何となく嫌だし、

あの建物に遮られて、せっかくの海がこの家から見えなくなるのも嫌だわ

とのこと

景観の大きな変化への戸惑いは、やっぱりある様子

 

変わりゆくものも、できるだけ愛していきたいけど

そう簡単には、いかないものなのね

 

 

さあ、明日で今年もおわり

ここは年末感があまりないけれど

 

いまの気持ちを丁寧に整理して

さっぱりと、穏やかに

新しくやって来る年を、迎える

 

2018/12/29

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ホイスコーレ生活の最後の2週間ほどは

走り去るように過ぎていって

ついて行くのに必死なわたしだった

 

書き留めておきたいこともたくさんあったけれど

その日その日の、目の前のことを

自分なりに精一杯愉しみたくて

結局のところ、このブログに記すことをせずにいた

 

それが、できるだけ毎日の記録を残そうとしていたブログを

一ヶ月ほど離れていた言い訳

 

すこし前にホイスコーレと別れ、ヨーロッパを旅行している

今は、デンマークにいる

 

ドイツのニュルンベルク、フランスのパリ、と2カ国すでに旅をしたけれど

デンマークにまた足を踏み入れたとき、飛び交うデンマーク語を聞いたり

電車の中で荷物をのんびりと置きっぱなしにする人びとを見て

ああ帰ってきたなあと、ほっとしたのだった

 

わたしにとって、デンマークという国はもう異国ではなくなったみたいで

じんわりと嬉しくなった

 

 

海外で初めて過ごすクリスマスは

デンマーク人の天使みたいな友人の、

オールボーにあるお家で過ごさせてもらった

 

デンマーク人にとってクリスマスは

伝統的に家族で過ごす、ほんとうに特別な日だ

そんな大切な日にわたしを受け入れてくれて、時間を共有してくれるなど

なににも代えられないくらい

嬉しいし、ありがたい

 

彼女いわく、クリスマスの日に予定がないのは寂しいから、とのこと

 

彼女のご家族も、これまた天使のようにわたしを招いてくれた

お客としてではなく、家族の中に入れてくれるような温度で

それはもう、居心地がよかった

 

デンマーク語で飛び交う会話を、

友人とその妹がほんとうに良く、英語で訳してくれて

英語がわからないおじいさん、おばあさんもニコニコと、話しかけてくれ

その、輪の中にあたりまえのように入れてくれる気持ちが

どうしようもなく、嬉しかった

 

クリスマスのスケジュールは、時間刻み

毎年同じふうに1日を過ごすのだそう

24日の朝は外へ出て、近所の子供たちと大きなクリスマスツリーの周りで歌ったあと、サンタクロースを呼ぶ

それから教会へ行って、子供たちのクリスマスの劇をみる

夕方からは、クリスマスの手作りディナーをゆっくり食べて

お家のクリスマスツリーの周りで歌って、歌って、歌う

それから、プレゼント交換を

なんと、2時間もかけて、ゆっくり

 

大げさかもしれないけれど

世界一幸せな国といわれるデンマークの、いちばん幸せな瞬間にいると

そう思うくらい、笑顔で包まれた、温かい、幸せな時間だった

 

このクリスマスは

ずっと忘れることはないのだろうね、と

何度も思ったのだった

 

 

そして、今はみんなと別れ

ひとり、デンマークのオーフスにいる

 

デンマークの小さな都会、といったところ

このところ、ぱんぱんに予定をたてて旅行をしていたので

時間に空白がなく

なんとなく疲れが溜まっていたので

Airb&bでお家を借りて、のんびりと、好きなだけ怠けて暮らしている

 

新しいものを見て、新しい人と会って、そんな日々も刺激的で幸せだけれど

こういう、間延びしたような時間も

わたしにとっては時たま必要なのだな、と知る

 

オーフスで街歩きをしていると

レインボーカラーの展望台で有名なARoS美術館に辿り着いた

 

そのとなりには、アイススケートのリンクがあって

ブルーのスケート靴を履いた、多くの人びとが

すいすいと、良い顔をして滑っていた

その光景をしばらく見ていたら、何故だかじわりと涙がでてきて、驚く

デンマークには、わたしの心の、純粋な部分を動かす瞬間があるのだよな

その抽象的で、漠然とした部分を

日々、よく思考して、ことばにできるようになってから帰りたいと、思う

 

そのために、今日もまた

目の前にある日々を摘んで、暮らしていく